ナンピンとは投資手法の一つで、FXに限らず株式や先物取引でも使用される用語・投資方法です。
勝てる必勝法、最強なんて言葉も見かけますが本当にそうなんでしょうか。
そこで「ナンピン」とはどんな手法なのか?
その意味やトレードのやり方、メリットとデメリットについてまとめました。
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FXのナンピンとはどんな手法?
「ナンピン」とは注文して相場が逆行した場合に、さらに同じ方向の注文を重ねていく手法です。
FXの為替相場では価格が常に上下して波のような動きをしています。
年に数回程度は上下に急上昇・急降下するパターンもありますが、日常的にはほとんどありません。
ナンピンはそんな為替の穏やかな期間を狙って利用する手法でFXに限らずトレード全般で使われています。
で、たとえば価格が下降中の相場でそろそろ上方向に上がると判断したら買い注文(ロングともいう)を入れます。
でも思惑通りにいかずさらに下落が続いてたら、そこでもまた1ポジション買い注文を入れます。
このように相場が逆行したときにポジションを追加することを「ナンピン」もしくは「ナンピン手法」といいます。
ほとんどの場合、相場は上下に波の動きをしているので価格は再び戻ってくることが多いです。
となるとナンピンで追加したポジションと最初に注文したポジションのトータルでプラスになったらときに精算できてば勝ちですね。
このこちからナンピンは相場が逆行したときに有効な手法です。
FXのUSDJPY(ドル円)の注文でナンピンした例
初心者向け基本用語の解説
ここでナンピンを解説する前にFXトレードの基礎用語をサクッと解説しておきます。
初心者ではない人は次の項目へ飛ばしましょう。
FXの注文するときの用語で、たとえばアメリカドルと日本円の通貨ペアの事を「ドル円(USDJPY)」と呼び、これを買い注文することを「ロング」、逆に売り注文を「ショート」と言います。
また投資の世界で何らかのFXの為替や株式などの投資対象に「買い」や「売り」注文することを「ポジションを取る」と言ったりします。
このドル円を具体的に説明すると、この通貨ペアで買い注文(ロング/上方向狙い)したときにはドルが高くななれば利益が出ます。
逆にドルが安くなれば損失が膨らんでいきます。
USDJPY1ドル110円で1ポジション買い注文したときのナンピン事例
1ドル110円で1個(枚)の買いポジション取った時に1ドルあたり1円分円高に進むと1円ずつ損失が膨らんでいきます。
そのため1ドル100円まで円高が進行すれば、損失は10円にまで膨らみます。
しかしそこから1ドル110円まで円安方向に回復した時は、また10円分だけリバウンドするので合計の損益はプラスマイナスゼロとなります。
最初にポジションを取ったところから1ドル100円まで円高進行して、また1ドル110円のところまで戻るまで何もしなければ損益はゼロのままです。
しかし1ドル100円まで円高が進行して損失が出ているときに、追加でUSDJPY買いポジションを注文(ナンピン)していた場合は結果が違ってきます。
今回の例で言えば1ドル100円まで円高方向に進んだ時に、もう1枚していると1ドル100円に戻った時には既に10円の利益が出ているんです。
最初に買ったポジションは1ドル110円で買ったものなのでそれを動かす事はできません。
しかし後で1ドル100円で1つかいポジションを追加したことで、合計2つのポジションの平均取得単価は105円となりました。
これによって元の値段に戻ったころには5円の利益が出ている状態になったのです。
【結果】
1つ目の注文(1ドル110円)・・・プラマイゼロ
2つ目の注文(1ドル100円)・・・プラス10円
一度マイナスに転じて元に戻った後にさらに利益が出る方向に相場が変動した時も1ドル100円まで円高進行した時に追加が買った分のおかげで利益がさらに大きくなります。
ナンピン買いしてうまくいけばこのようにマイナスポジションをプラスにすることができます。
FXトレードにおけるナンピン手法のやり方
ナンピンのやり方自体は相場が逆行したらポジションを追加していくだけ。
とくに難しいものではありません。
ただ追加注文するタイミングしだいで最悪トレード資金を失う結果に繋がります。
そのため自分なりのナンピンタイミングを決めておくことをおすすめします。
ナンピンするタイミングは?
たとえばナンピン方式を採用しているEA(FX自動売買ツール)は10pips逆行したら追加で注文する、といったロジックで動いています。
pips(ピプス/ピップス/ピップ)とはFXトレードにおいて値動きの単位のこと。
最小単位は0.01pipsです。
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⇒XM pips計算方法 1ピプスはいくら?
ドル円の場合なら1pipsは1銭(0.01円)なので0.1円分動いたときにナンピンするわけですね。
ただし相場は波を形作っていて必ず戻るとはいえ、あなたの資金と注文ロット数でカバーできる範囲内に収まるとは限りません。
経済的にちょっと大きめなイベントが起これば3円(300pips)くらい動いてしまうこともあります。
過去のデータをみていると1年のうちに数回300pips程度動くことがあるので、自分の資金量と照らし合わせて300pips程度の値動きに耐えられるロット数とナンピン幅に調整するのもおすすめです。
たとえばUSDJPY1ドル=100円のとき買い注文し、50pips逆行したら0.01ロットでナンピン&最大6つポジションを持つと決めたらこんな感じで注文することになるでしょう↓
最初のポジション 1ドル=100円:0.01ロット
ナンピン1つ目 1ドル=99.5円:0.01ロット
ナンピン2つ目 1ドル=99.0円:0.01ロット
ナンピン3つ目 1ドル=98.5円:0.01ロット
ナンピン4つ目 1ドル=98.0円:0.01ロット
ナンピン5つ目 1ドル=97.5円:0.01ロット
相場が300pips逆行したとき6つのポジション&合計0.06ロット分保有した状態になります。
なおナンピンポジションを注文するときにロット数を倍にするなど人によって工夫することが多いです。
ちなみに最近はコロナが出現してから世界経済は混とんとしていて当たり前に300pips以上動くことが多くなってきました。
さらにロシアのウクライナ侵攻によって20円以上(2000pips以上)という強烈な円安が進むなどナンピン手法泣かせな相場になりました。
今の相場のままではとてもナンピン手法をおすすめすることはできません。
最初のポジションを注文するタイミングは?
こればかりは本当にFXだけで食べていけているプロトレーダーの教えを受けるか自分で見つけるしかありません。
一度にFXでポジションを取ってしまうとトレーダーができる行動はそのポジションを決済するか持ち続けるかの2択から判断をするだけになります。
1ドル110円で取った買い注文(ロングポジション)をもっと価格が下の方に変更したいと思ってもできるわけではありません。
そんなことができたらみんな儲かってしまいますからね(汗)
理想はナンピンなんかせず最初に注文したポジションだけで勝つこと。
ですが上がるか下がるかだけのFXだけに確率的には半分が逆行するため勝率も半分です。
そこでその確率を上げるためにほかのFXトレーダーが反応するポイントを多く身につけることが大事です。
チャートの波の天井部分を結んだ上昇・下降ラインを引いてみる、MA(MovingAverage/移動平均線)といった取引ツールに搭載されているインジケータと言うプログラムを使う、などしてチャートの反応する部分を見つけましょう。
チャート分析の例
これは2022/8/27のUSDJPY4時間足チャートの分析例です。
波の中で目立つ高値と高値、安値と安値を結んだラインとMAというインジケータを使っています。
最初はこれくらいで十分ですね。
このチャートでは引いたラインの中で「意識されている」と緑色の丸印をしてあるポイントが非常に意識されているのがわかります。
トレード手法によりますが、こういったポイントで反発する可能性が高いので1つのエントリーポイントとして使うのもありでしょう。
ナンピン手法ならポジションを増やさないといけませんが平均取得単価を下げて損益分岐点を低いところに変えられます。
なおナンピン手法に関しては肯定的な投資家もいれば否定的な投資家もいます。
そのぐらい良いところもあれば悪いところもある手法ですね。
ちなみに平均取得単価を下げる方法に「ドルコスト平均法」というものがあります。
そこでナンピン手法とドルコスト平均法の違いについて解説しておきます。
ナンピンとドルコスト平均法の違い
違う手法なんですが同じものと勘違いされやすい手法に「ドルコスト平均法」があります。
ドルコスト平均法とは特定の投資対象に投資する時に、一気にポジションを取らずに一定の決められたペースで決められた量だけポジションを取っていく手法です。
この方法でもレートが高い時に追加枚数が減って、レートが低い時に通過枚数が多くなるので平均取得単価を下げる効果があります。
また一気にポジションを取らないので、極端な高値掴みを避けられます。
一見すると同じ手法に思えますが、ドルコスト平均法と異なるのはナンピンはマイナス方向に相場が返送した時に追加していく点です。
ナンピンの方がリスクは高め
そのためドルコスト平均法よりも平均取得単価を下げる効果がより高いナンピントーレド。
ですが、ドルコスト平均法のようにもともと計画して追加しているものではありません。
必要な枚数を持っているすでに状態から、マイナス方向に進んだから追加するといったネガティブ要素の強いトレードになるナンピンの方が一般的にはリスクが高い手法になります。
ナンピンとマーチンゲール法
「ナンピンマーチン」などと呼ばれ、ナンピンするときに追加注文するポジションのロットを倍々に増やしていく手法です。
マーチンゲール法とは?
ギャンブルで使われるベット方法のことで、そのゲームで負けたら次のゲームで倍額ベットしていく手法です。
仰々しいネーミングが付いていますが仕組みは単純なもの。
これとナンピンを組み合わせることで稼ぎを大きくしつつ早めにたまったポジションを全部生産することができます。
FXにおいては必ずしも倍々にはせず、少しづつ増やしていくパターンもあります。
そしてナンピンマーチン式はEA(FX自動売買ツール)のロジックとして使われることが多いです。
ナンピン手法のFX自動売買ツール(EA)
FX自動売買ツール(EA)とは取引ツール上で24時間自動で売買を繰り返してくれるツールのこと。
ツールごとにさまざまなロジックが組み込まれていますが、ナンピン手法を取り入れたEAが多いです。
ただ個人的にはおすすめしません。
私もいくつか試してきましたが損切りが絶対必要になるため完全放置はできません。
運良く儲かったら減資分は出金してからまた稼働させる、といったやり方でないと必ず溶けます(笑)
ツール販売側は景気のいい数字を宣伝文句に売り込んできますが、ナンピン式を採用しているなら必ず溶けます。
とくに数年前までの為替相場なら割と穏やかだったため、相場が急落・急騰したタイミングで逆張りエントリーしそこから10pips逆行するごとにナンピンしていくEAが多かったですね。
そしてその頃はEAでもそこそこ稼げました。
でも2022年以降の相場では無理です。
まだ落ち着いた相場に戻ってくれれば使えると思いますが・・・。
どうしてもEAを使ってみた人はナンピン以外のロジックで仮想する自動売買ツールを選ぶことをおすすめします。
ナンピン手法のメリットとデメリット
ナンピン手法のメリット
ナンピンのメリットは平均取得単価を下げて、上昇に転じた時に早く損失を無くして利益を大きくする効果がある事です。
最初にポジションを取った後に一時的にマイナス方向に相場が変動した時に、追加でポジションを増やせれば利益を効率的に取る事ができます。
ナンピン手法のデメリット
デメリットは損失が出ているところでさらに同じポジションを追加して、損失の拡大が止まらなければ自ら損失を大きくする可能性がある事です。
FXの場合は元手の資金にレバレッジをかけて、手元資金以上の資金量を扱えます。資金がゼロになるだけでなくマイナスに転落しないように証券会社で一定の証拠金維持率を下回ると、強制決済するようになっています。
FXでこの手法を使う場合は、強制ロスカットのリスクをあげてしまう事にも繋がるデメリットもあります。
FXでナンピンを使う時にデメリットの部分を完全に排除して、メリットだけを享受できる方法は存在しません。
しかしデメリットになるリスクを少しでも減らすことは可能です。
損失が出る方向に相場が動く過程でむやみに追加するのではなく、タイミングや量といった一定のルールを決めます。
そのルールの中でポジションを追加していく事で、できる限りリスクを抑えて使用できます。
ナンピン手法が失敗したときの対処法
予想では相場が戻ると思ってナンピンしたものの、一向に戻らす証拠金維持率がピンチに(汗)
そんな経験をしたことがある人は数えきれないはず。
この状態ではさらにナンピンする余力もないため攻めの姿勢はとれません。
こうなるとたいてい切り抜けられず溶けてしまうパターンですね。
私も何度か経験しました。
ではナンピンで失敗してしまった時どうすればいいのでしょうか。
ナンピン失敗時にやれること
- 涙を呑んで損切りする
- 両建てで凌ぐ
- 神さまに祈って放置
涙を呑んで損切りする
個人的にはこれをおすすめします。
ナンピンしてハマると長い時間ストレスを受け続けることになります。
副業として取り組んでいるなら本業に悪影響も出てきますし、家族がいるならあたりが強くなって関係悪化する可能性も出てくるでしょう。
トレード資金の多くは失うことになりますが、ロスカットされるまで我慢してしまうと再スタートも苦しい残高しか残りません。
損切りしたほうが傷が浅いことが多いです。
両建てで凌ぐ
両建てを禁止しているFX業者がほとんどですが、同じ口座内なら問題なくできます。
で、現在保有しているポジションの総ロット数と証拠金維持率に応じて買い注文を持っているなら反対方向の売りで、売りなら反対の買い注文をします。
このように同じ通貨ペアで売り買い両方のポジションを持つことを「両建て」と言いピンチのときの一時しのぎで使えます。
たとえば総保有ロット数と同じ分を逆方向で注文すればそれ以上含み損は増えていきません。
もちろん含み益にもなりませんが、ハマった状況をしばらく様子見することはできるでしょう。
一度両建てポジションを持ってしまうと精算するタイミングが難しいんですが、損切りできない人は両建てで凌ぐしかありません。
神さまに祈って放置
対処法でも何でもないですね(汗)
でもあきらめも肝心です。
ちなみに日本のFX取引所だと相場が急変動して含み損が残高以下になってしまうと追証(借金請求)されます。
海外FXならゼロカットという仕組みがあるため借金リスクはありません。
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まとめ
FXトレードでもよく使われる手法「ナンピン」について解説しました。
上がるか下がるかは50%の確率ですが負ける人の方が多いのが現実です。
どんなに優れたトレーダーでもエントリーしたポジションが必ず予想した方向へ上下することはありません。
でも相場(チャート)は必ず波打って動くもの。
もし予想と逆側に動いてしまった時、ナンピンを使ってエントリーし波が戻ったときにプラスで精算しやすくなります。
もしそのまま一方向へ動いてしまうと最悪溶けてしまうわけですが相場の7割と言われるレンジ相場ではまず溶けません。
(ここ最近は7割切ってそうですが)
適度な注文ロット数でナンピンして失敗エントリーを成功にしてしまうのもありでしょう。